RD セッションホストのグループ化と複製

Parallels RAS でリソースを公開するとき、リソースをホストする 1 つまたは複数のサーバーを指定する必要があります。グループは、複数の RD セッションホストを組み合わせ、個々のサーバーを指定する代わりに、グループからリソースを公開できます。

RD セッションホストグループを使用する主な利点は次のとおりです。

  • 公開済みのリソースの管理が容易になります。マルチサーバー環境での使用を強くお勧めします。
  • Parallels RAS で利用できる VDI 機能を活用して RAS テンプレートから作成される RD セッションホストを使用できます。これについてはこのセクションの後半で詳しく説明します。

1 つの RD セッションホストは 1 つのグループのメンバーにしかなれないことに注意してください。同じサーバーを複数のグループに追加することはできません。

グループを作成

RD セッションホストグループを作成するには、次の操作を実行します。

  1. RAS コンソールで、[ファーム] / [<サイト>] / [RD セッションホスト] に移動します。
  2. [グループ] タブをクリックします。
  3. [タスク] > [新規グループ] をクリックします(または [+] アイコンをクリックします)。既存のグループを変更するには、そのグループを右クリックし、コンテキストメニューで [プロパティ] を選択します。
  4. [グループプロパティ] ダイアログが開き、下記のようにグループ設定を指定できます。

[一般] タブで、[サイト内のグループを有効化] を選択して、グループを有効にします。グループの名前と説明を入力します。

ここで、1 つまたは複数のサーバーをグループに追加します。これは、以下のオプションを使用して実行できます(両方同時に使用できます)。

  • サーバーを置く RAS テンプレートを指定します。これには、選択したテンプレートから作成された、またはこれから作成されるすべての RD セッションホストが含まれます。そのようにするには、[RAS テンプレートに基づく RD セッションホスト] オプションを選択し、ドロップダウンリストからテンプレートを選択します。ここで、選択する前に、タイプ [RD セッションホスト] の RAS テンプレートを作成する必要があることに注意してください。詳細については、下の「RAS テンプレートの使用」サブセクションを参照してください。
  • サーバーを手動で 1 つずつ追加するには、[タスク] > [追加] をクリックして、一覧からサーバーを選択します。メインの一覧でサーバーを右クリックし、[グループへの割り当て] を選択して、後からサーバーを追加することもできます。

グループのデフォルト値を使用

グループに割り当てられている RD セッションホストには、グループのデフォルト値から継承される様々な設定があります。これにより、各サーバーを個別に構成するのではなく、すべてのサーバーの設定を単一のセットを使用して簡単に構成できます。サイトには、独自のデフォルト設定もあります(サイトのデフォルト値)。さらに、RD セッションホストグループは、これらのサイトのデフォルト値を継承できます。これにより、デフォルトの設定を RD セッションホストにより継承する際に、次の選択肢が提供されます。

  • サイトのデフォルト値を構成し、グループにこれらの設定を継承させます。したがって、グループに割り当てられている RD セッションホストもサイトのデフォルト値を継承します。これが、新しいグループのデフォルト値のシナリオです。サイトのデフォルト値は、[ファーム] / <サイト> / [RD セッションホスト] へ移動し、[タスク] > [サイトのデフォルト値] をクリックすることにより構成できます。
  • 該当のグループに対してデフォルトの設定を構成します。このようにして、複数のグループを設定することができます。各グループには固有のグループのデフォルト値があります(サイトのデフォルト値とは異なります)。したがって、グループに割り当てられるサーバーは、グループのデフォルト値を継承します。

グループに対してデフォルト設定を構成するには、[グループプロパティ] ダイアログ([タスク] > [プロパティ])を開いて、希望のタブ(デフォルト値のない [全般] タブ以外)を選択し、[デフォルト設定を継承] オプションを選択するかクリアします。オプションをクリアすると、独自のデフォルト値を指定できます。このグループに割り当てられている(か割り当てられる予定の)全サーバーが、これらの設定を継承します。継承は、[グループプロパティ] ダイアログのそれぞれの個別のタブに対して、独立して機能しますので注意してください。

RD セッションホストに対してデフォルト設定を構成する方法の詳細については、「RD セッションホストプロパティの表示と変更」を参照してください。

RAS テンプレートの使用

タイプ [RD セッションホスト] の RAS テンプレートは、Parallels RAS で利用できる VDI 機能を活用します。テンプレートは、ハイパーバイザー上で動作している仮想マシン(VM またはゲスト VM とも呼ばれます)に基づいています。RAS テンプレートを作成するとき、オペレーティングシステムと公開を予定しているリソースがすでにインストールされている、事前に構成された VM を選択します。その後で個々のホスト(VM)がテンプレートの複製として作成されます。複製は事前に作成することも必要に応じて作成する(テンプレートを作成するときに構成する)こともできます。この機能により、仮想マシンで動作している RD セッションホストを実質的に作成および構成し、必要に応じた数のコピーを作成できます。

Parallels RAS で VDI を使用するための詳細情報は、「VDI」の章を参照してください。VDI ホストの追加と構成に習熟したら、タイプ [RD セッションホスト] の RAS テンプレートの作成方法を選択している「Parallels RAS テンプレート」セクションをお読みください。

[グループプロパティ] ダイアログで RAS テンプレートを選択した後、[RAS テンプレートの設定] タブをクリックして、下で説明されている追加のプロパティを指定します。

ワークロードしきい値が(%)を超えたら RAS テンプレートにリクエストを送信: テンプレートから 1 つまたは複数の追加のサーバー(ゲスト VM)が作成される、グループワークロードしきい値を指定します。グループワークロードの割合は、次の式を使用して計算されます。

グループワークロード =(現在のセッション数/最大セッション数) x 100

上の式で、

  • 現在のセッション数は、グループ内にあるすべてのサーバー上のすべてのセッションの合計数です。これには、静的(スタンドアロン)サーバーや RAS テンプレート(ゲスト VM)から作成されたサーバーも含まれます。無効にされているサーバー、空になっているサーバー、または Agent のステータスが [未確認] であるサーバーは、計算に含まれないことに注意してください。
  • [セッション最大数]は、[Agent 設定] タブで指定する設定で(サイトのデフォルト値から継承されるか、このグループに対して上書きされます)、グループに許可されるセッションの最大数です。

次の例を考えてみましょう。

RAS グループ 1 - 混合サーバータイプ(静的とゲスト VM)、異なる Agent のステータスは 

  • [RDSH-1]、ステータスは[OK]、最大セッション数は 10、現在のセッション数は2、タイプは静的
  • [RDSH-2]、ステータスは[無効]、最大セッション数は 20、現在のセッション数は0、タイプは静的
  • [RDSH-3]、ステータスは[OK]、最大セッション数は 10、現在のセッション数は4、タイプはゲスト VM
  • [RDSH-4]、ステータスは[ドレインモード]、最大セッション数は 10、現在のセッション数は3、タイプはゲスト VM

上記のグループのワークロードは、(現在のセッション数/セッション最大数) x 100 または((2 + 4)/20) x 100 = 30% として計算されます。

サーバー RDSH-2 と RDSH-4 については、前者は Agent が無効にされていて、後者はドレインモードになっているため、ワークロードに含まれていません。

RAS グループ 2 - 混合サーバータイプ(静的とゲスト VM)、異なる Agent のステータスは

  • [RDSH-1]、ステータスは[OK]、最大セッション数は 10、現在のセッション数は0、タイプはゲスト VM
  • [RDSH-2]、ステータスは[OK]、最大セッション数は 10、現在のセッション数は2、タイプはゲスト VM
  • [RDSH-3]、ステータスは[未確認]、最大セッション数は 10、現在のセッション数は0、タイプはゲスト VM

グループワークロード = (現在のセッション数/最大セッション数) x 100 または((0 + 2) / 20) x 100 = 10%

グループは、ワークロードが 0% の場合でも、少なくとも 1 台のサーバーが利用できることを常に確認することに注意してください。

[リクエストごとにグループに追加するサーバーの数]。グループからの 1 回のリクエストごとにテンプレートが作成するサーバーの数。この設定は、上で説明した [ワークロードしきい値が(%)を超えたら RAS テンプレートにリクエストを送信] 設定と連動します。グループが追加のサーバーを作成するリクエストをテンプレートに送信するとき、ここで指定された値が、作成されるサーバーの数を決定します。

[RAS テンプレートからグループに追加するサーバーの最大数]。このオプションでは、合計何台のサーバーをテンプレートからグループに追加できるかの上限を設定できます。RAS テンプレートはグループ間で共有できます。各グループに上限を設定することにより、各グループ内で組み合わせたサーバーの数がテンプレートの制限を超えないようにします。次の例を考えてみましょう。

  • RAS テンプレートが 1 つのグループに使用されている場合、この数字を最大で RAS テンプレートの [ゲスト VM 数の上限] 設定の数にできます。
  • 2 つ以上のグループが同じ RAS テンプレートを共有する場合、すべてのグループを組み合わせた数が RAS テンプレートの [ゲスト VM 数の上限] 設定以下である必要があります。

グループを保存するとき、他のグループ(ある場合)に対して検証が実行され、数が一致しない場合はエラーメッセージが表示されます。エラーのためにサーバーを作成できないときは、"RAS テンプレートエラー" イベントがトリガーされ、管理者はアラートメッセージを受信します。

[ワークロードが(%)を下回ったらグループのサーバーを空にして割り当て解除する]。1 つまたは複数のサーバーがドレインモードに切り替えられるかグループから割り当て解除されるときの、グループワークロードの割合の値を指定します。セッション数が最も少ないサーバーがドレインモードに切り替えられます。すべてのユーザーがサーバーからログオフするとすぐ、グループから割り当て解除されます。その時点で、そのサーバーはオンデマンドで他のグループが利用できるようになります。

注: Parallels では、ドレインモードを効果的にするために、Windows のグループポリシーまたは [サイトのデフォルト値のプロパティ] ダイアログで、アイドル時間と切断されたセッションに実行可能なタイムアウトを設定することをお勧めします。

グループからサーバーを削除する

グループから通常の RD セッションホストを削除するには、次のいずれかを実行します。

  • [RD セッションホスト] タブで、サーバーを右クリックして、[グループからの削除] を選択します。
  • [グループ] タブで、グループを右クリックし、[プロパティ] を選択します。[グループプロパティ] ダイアログで、サーバーを選択し、[タスク] > [削除] をクリックします。

RAS テンプレートからグループに追加された RD セッションホストを削除するには、次の手順を実行します。

  1. [グループ] タブに移動します。
  2. グループを選択し、[タスク] > [プロパティ] をクリックします。
  3. [グループプロパティ] ダイアログで、サーバーを選択し、[タスク] > [削除] をクリックします。

これは、グループからこのタイプの RD セッションホストを削除できる、RAS Console で唯一の場所であることに注意してください。このようなホストを削除するとき、最初に空にされた後にのみ、グループから割り当て解除されることにも注意してください。削除には長時間かかる可能性があります。

グループを作成し、後でそこからリソースを公開した後、グループを右クリックし、[公開済みのリソースを表示] を選択(または [タスク] > [公開済みのリソースを表示] をクリック)して、リソースの一覧を表示できます。詳細については、「RD セッションホストでホストされている公開済みリソースの表示」を参照してください。