RAS テンプレートのメンテナンス

RAS テンプレートの構成プロパティの確認と変更以外にも、いくつかのメンテナンスタスクを実行できます。これらのタスクについて、以下に説明します。

テンプレート内の RAS Guest Agent のアップデート

RAS テンプレートには、RAS Guest Agent の最新バージョンがインストールされている必要があります。RAS Guest Agent はテンプレートの作成時にインストールされます。RAS Guest Agent の新しいバージョンが入手できるようになったら、RAS Guest Agent をアップデートする必要があります。

Parallels RAS Console が起動すると、Agent のインストールまたは更新が必要であることを示すメッセージボックスが表示されることがあります。1 つまたは複数のサーバーまたはテンプレートに Agent がインストールされていないとき、または Agent がサポートされない古いバージョンの場合に、このメッセージは表示されます。メッセージはすべての Agent を更新するかどうかをユーザーに確認します。[はい] をクリックすると、Agent を更新する必要のあるすべてのサーバーとテンプレートを一覧表示するダイアログが表示されます。サーバー/テンプレートの選択または選択解除を行い、一括更新の手順にサーバー/テンプレートを含めたり、除外したりできます。選択を行ったら、[OK] をクリックして、更新を開始します。画面の指示に従って、Agent を更新します。以下の注意事項に目を通してください!

完全複製テンプレートとリンク複製テンプレートの比較: テンプレートの RAS Guest Agent を更新する際には、このテンプレートから作成されたゲスト VM の Agent も更新する必要があります。この更新は、完全複製テンプレートとリンク複製テンプレートに対して別々に実行されます。以下に説明する手順をお読みください。

リンク複製テンプレートの Agent を更新する場合、このテンプレートから作成されたすべてのゲスト VM を再作成するかどうか確認されます。[はい] をクリックすると、それらはテンプレートに合わせて自動的に再作成されます。

完全複製テンプレートの Agent を更新する場合、完全複製ゲスト VM はこのタイミングで再作成されません。これは、完全複製 VM が完全なマシンであるためです(仮想ハードディスクリンクをテンプレートのスナップショットと共有する複製とは対照的です)。したがって、完全複製 VM の再作成は時間がかかる手順になります。このため、これらの VM の Agent を更新する場合は、RAS コンソールからプッシュインストールするほうが、ずっと速く簡単です。これは、以下のいずれかのビュー/ダイアログで、[タスク] > [すべての Agent をアップグレード] をクリックすると実行できます。

  • [VDI] / [バーチャルデスクトップホスト] / [バーチャルゲストの設定]
  • [VDI] / [プール管理] > [プール内のゲスト VM を表示する]
  • [VDI] / [RAS テンプレート] > [ゲスト VM を表示]
  • [VDI] / [デスクトップ]

テンプレート内の RAS Guest Agent のステータスを手動で確認するには、[タスク] > [Agent をチェック] をクリックします。Agent が最新である場合、メッセージボックスにはそれを確認するメッセージが表示されます。RAS Guest Agent の新しいバージョンが入手できる場合は、アップデートするかどうかを尋ねるダイアログが表示されます。[はい] をクリックして、Agent をアップデートします。[いいえ] をクリックした場合は、後でステータスを再度確認し、その際に RAS Guest Agent をアップデートできます。完全複製テンプレートおよびリンク複製テンプレートの更新にある違いはこのシナリオにも当てはまりますので注意してください。

RAS テンプレートメンテナンスモードの使用

RAS テンプレートメンテナンスモードは、RAS テンプレート内部のソフトウェアの更新に使用します。たとえば、Windows Server Pack やソフトウェアアップデートをインストールする場合は、メンテナンスモードを使用する必要があります。

RAS テンプレートが完全複製とリンククローンのどちら向けに構成されているかによって、メンテナンスモードは多少異なる方法で使用されます。

完全複製:

完全複製を作成するように RAS テンプレートが構成されている場合は、次の操作を実行します。

  1. RAS テンプレートを選択し、[タスク] > [メンテナンス] をクリックします。テンプレートが無効になる(グレーアウトされる)ため、そこで行われるすべての操作(新しいゲスト VM の作成を含む)がサスペンドされます。
  2. 対応するハイパーバイザーのネイティブツールを使用して、通常の仮想マシンとしてテンプレートを起動します。
  3. 必要に応じて Windows アップデートまたはソフトウェアをインストールします。
  4. 完了したら、仮想マシンをシャットダウンします。
  5. RAS コンソールに戻り、テンプレートを選択して [タスク] > [メンテナンス] を再度クリックし、メンテナンスモードを終了します。

注: メンテナンスモードのときに完全複製テンプレートに適用された更新は、それ以降の複製にのみ反映されます。完全複製としてこのテンプレートから作成された既存のゲスト VM は影響を受けません。したがって、これらの VM に更新内容を反映する場合は、これらの VM を再作成する必要があります。

リンク複製:

リンククローンは仮想ハードディスクを RAS テンプレートのスナップショットと共有するため、完全複製と比較すると追加の手順が必要になります。

まず、データを保存してログオフするようにゲスト VM ユーザーに通知する必要があります。これは、テンプレートにインストールするアップデートを既存のゲスト VM に反映するために必要になります。すべてのユーザーがログオフしたら、次の操作を実行します。

  1. RAS テンプレートを選択し、[タスク] > [メンテナンス] をクリックします。テンプレートが無効になる(グレーアウトされる)ため、そこで行われるすべての操作(新しいゲスト VM の作成を含む)がサスペンドされます。
  2. 対応するハイパーバイザーのネイティブツールを使用して、通常の仮想マシンとしてテンプレートを起動します。
  3. 必要に応じて Windows アップデートまたはソフトウェアをインストールします。
  4. 完了したら、仮想マシンをシャットダウンします。
  5. RAS コンソールに戻り、テンプレートを選択して [タスク] > [メンテナンス] を再度クリックし、メンテナンスモードを終了します。既存のゲスト VM を再作成するかどうかを尋ねるダイアログが表示されます。[いいえ] をクリックすると、ダイアログが閉じられ、既存のゲスト VM は現在の状態のまま維持されます。これは、インストールしたアップデートが既存の VM に反映されないことを意味します。[はい] をクリックした場合は、先に進んでください。
  6. 前の手順で [はい] をクリックすると、既存のゲスト VM でアクティブな接続の有無が確認されます。アクティブな接続が検出されると、続行するかどうかを尋ねる別のダイアログが開きます。
    • [はい] をクリックすると、アクティブなすべてのセッションが強制的にログオフされ、既存のゲスト VM(リンククローン)が対応するスナップショットと一緒に削除され、新しいスナップショットと VM が、アップデートされた RAS テンプレートから作成されます。
    • [いいえ] をクリックすると、[テンプレートゲスト VM リスト] ダイアログが開き、利用可能な各ゲスト VM. の現在の状態を確認することができます。このダイアログから、ゲスト VM を完全に制御できます。ユーザーにメッセージを送信して、ユーザーをログオフさせることができます。アクティブなセッションがすべてログオフしたら、[OK] をクリックします。既存のゲスト VM と対応するスナップショットが削除され、新しいスナップショットと VM が、アップデートされた RAS テンプレートから作成されます。

RAS テンプレートの構成が完了したら、RAS コンソールのメインウィンドウにある [適用] ボタンをクリックして、変更内容を Parallels RAS で確定します。

リンクする複製を再作成せずにメンテナンスモードを終了した場合、アップデートを適用するには再度メンテナンスモードに入る必要があることに注意してください。

RAS テンプレートに基づく RD セッションホストの管理

RAS テンプレートから作成された RD セッションホストのスケジュールされたメンテナンスを実行する必要がある場合、次の手順に従ってください。

  1. 目的の RD セッションホストグループを空にするメンテナンスウィンドウに合うスケジュールを作成します。
  2. メンテナンス中(またはその直前)にテンプレートをメンテナンスモードに切り替えます。その後で必要な変更を適用します。
  3. スケジュールでは、テンプレートにプロビジョニングされたグループが(メンテナンスウィンドウが継続している間)無効になり、これにより、すべてのゲスト VM がグループから削除(割り当て解除)されます。
  4. テンプレートをメンテナンスから解放し、すべての複製を再作成するか尋ねられたら、[はい] をクリックします。
  5. ステップ 3(上記)で無効にしたグループを有効にします。この時点で、グループは、[使用可能なバッファを以下に維持] 設定に従い、ゲスト VM の受け取りを開始します。
  6. この時点以降、グループはオンデマンドで VM によりプロビジョニングされます。